「パイロットと医師、どちらが年収は高いのか」
この問いは、単なる興味本位ではなく、
進路選択やキャリア形成を考える人にとって、
とても現実的な関心事です。
最近では、
パイロットと医師を比較する記事がニュースでも話題になり、
「どちらが大変なのか」「どちらが報われるのか」といった声も
多く見られるようになりました。
ただし、
年収という数字だけで職業の価値を測ることはできません。
本記事では、
最新の賃金構造基本統計調査(厚生労働省)という
公的データを軸にしながら、
- 年収
- 到達までの難易度
- 仕事としてのやり甲斐と責任の質
を整理し、
「どちらが上か」ではなく、
「どちらが自分に合うのか」を考える材料を提示します。
まずは、パイロットという職業の年収構造から
パイロットの年収については、
航空業界全体の構造を理解しておく必要があります。
▼こちらの記事で、
公的データをもとに詳しく整理しています。
航空業界の年収は高い?|公的データで見る職種別年収と将来性
本記事では、
その内容を踏まえつつ、
医師との比較に進みます。
最新データで見る|パイロットと医師の年収比較
使用する統計データについて
本記事で使用する年収の目安は、
厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和6年)」です。
この調査では、
職種ごとに
- きまって支給する現金給与額(=月給)
- 年間賞与その他特別給与額
が公表されています。
一般的には、
以下の式で推定年収を算出します。
推定年収 = 月給 × 12 + 年間賞与
年収比較(推定)
| 職業 | 月給(平均) | 推定年収 |
|---|---|---|
| 航空機操縦士 | 約127万円 | 約1,700万円 |
| 医師 | 約103万円 | 約1,330万円 |
※いずれも平均値。年齢、勤務先、働き方により大きな差があります。
出典
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和6年)」
- e-Stat 政府統計ポータル
- 統計データを基にした年収推計(金融系解説記事等)
年収だけでは見えない「前提条件」
この数字を見ると、
「パイロットの方が高年収」に見えます。
ただし、
ここで必ず押さえておきたい前提があります。
医師の場合
- 主に 勤務医の給与データ
- 開業医・事業所得は含まれにくい
- 専門や地域で年収差が非常に大きい
パイロットの場合
- 母数が少なく、平均値が振れやすい
- 定期審査・健康要件を満たし続ける必要がある
- 年齢・機種・会社規模で差が出やすい
つまり、
どちらも「典型例」ではないという点は重要です。
到達までの難易度を比較する
医師の道のり
- 医学部(6年)
- 医師国家試験
- 初期研修(2年)
- 専門研修・キャリア形成
合計すると、
10年以上の時間を要することも珍しくありません。
一方で、
ルートは比較的一直線です。
努力を積み重ねれば、
確実に前へ進める構造とも言えます。
パイロットの道のり
- 自社養成・指定養成・自費養成など複数ルート
- 学科・実技・英語・身体検査
- ライセンス取得後も定期審査が継続
資格を取ったら終わりではなく、
「飛び続けられるかどうか」を常に問われる職業です。
健康、判断力、訓練成績。
どれか一つが欠けても、
同じキャリアを維持できないことがあります。
やり甲斐と責任の「質」はどう違うのか
どちらも、
人の命を扱う仕事です。
ただし、
責任のかかり方は少し異なります。
医師の責任
- 目の前の患者一人ひとりと向き合う
- 診断・治療・説明責任
- 感情労働の比重が大きい
パイロットの責任
- 同時に多数の命を預かる
- 標準化された手順と判断
- 個人よりもチーム(CRM)が重視される
どちらが重い、ではありません。
責任の向きが違うのです。
年収が高い=幸せ、ではない
数字だけを見ると、
高年収に見える職業でも、
- 長い訓練
- 強い責任
- 継続的なプレッシャー
が伴います。
逆に言えば、
それを受け入れられる人にとっては、
非常にやり甲斐のある仕事でもあります。
結論|どちらが「上」かではなく、どちらが「合う」か
パイロットと医師。
どちらが優れているか、
という問いに答えはありません。
大切なのは、
- どんな責任を引き受けたいか
- どんな時間の使い方をしたいか
- どんな形で人の役に立ちたいか
です。
年収は、
その結果として後からついてくるもの。
ただ一つ言えるのは机の上での勉強が難しいのは、
圧倒的に医師や弁護士という職業でしょう。
この記事が、
誰かにとっての「静かな判断材料」になれば幸いです。
参考・出典
- 厚生労働省「賃金構造基本統計調査(令和6年)」
- e-Stat 政府統計ポータル

