パイロットは、高年収で専門性が高く、世界でも通用する仕事です。
それでも、途中でこの仕事を離れる人がいます。
理由は単純です。
この仕事は「到達する仕事」ではなく、「一生続く仕事」だからです。
パイロットは不足している。それでも辞めていく人がいる
日本では近年、パイロット不足が繰り返し報じられています。
背景には、高齢化や将来的な大量退職、海外航空会社による引き抜きなどがあります。
一見すると、
「これから価値が上がる職業」に見えるかもしれません。
しかし現場では、
不足しているにもかかわらず、辞めていく人がいる
という現実が同時に起きています。
年収は高い。それでも理由にはならない
パイロットの年収は、一般的に高水準です。
厚生労働省が公表している
「賃金構造基本統計調査」では、
航空機操縦士は専門職の中でも高い賃金水準に位置しています。
実際の運航現場では、
- 副操縦士であれば 年収1,300万円以上
- 機長であれば 年収2,000万円以上
となるケースが一般的です
(※所属会社・機種・勤続年数によって差はあります)。
それでも、
お金だけでこの仕事は続きません。
「きつさ」の正体は、労働時間ではない
パイロットの仕事は、
肉体労働のように体を酷使する仕事ではありません。
それでも、疲労は確実に蓄積します。
理由の一つが、
繰り返される与圧による気圧変動です。
短時間のフライトを重ねる中で、
体は何度も気圧の変化を受けます。
これは自律神経や睡眠の質に影響し、
「説明しづらい疲労感」として積み重なっていきます。
判断は一人でしない。しかし、軽くもない
誤解されがちですが、
パイロットは一人で判断する仕事ではありません。
操縦室には複数のパイロットがいます。
地上には運航管理、整備、管制があります。
そして明確な運航規程があります。
その中で、
- どの自動化レベルを使うか
- 規程の範囲でどう裁量を使うか
- どこで安全側の判断をするか
こうした選択を、毎便、積み重ねていく仕事です。
離着陸以外はオートパイロットを使うのが基本ですが、
その使い方を判断するのがパイロットです。
「やめとけ」と言われる本当の理由
この仕事が「やめとけ」と言われる最大の理由は、
華やかさとのギャップではありません。
勉強と審査が、辞める日まで終わらないことです。
- 定期訓練
- 技能審査
- 身体検査
これが、キャリアの最後まで続きます。
感覚としては、
ずっと受験生でいるようなイメージです。
それでも、世界で通用する仕事でもある
パイロットのライセンスは国ごとに発行されます。
しかし、操縦する航空機や運航の考え方は世界共通です。
書き換え訓練や手続きは必要ですが、
一度身につけた操縦技能そのものは、世界で通用します。
海外に住む。
海外で働く。
それが人生の中で現実的な選択肢になる仕事です。
家族や恋人にとっては不安要素でもあり、
同時に、人生の幅を広げる可能性でもあります。
パイロットという仕事は「続ける覚悟」の仕事
パイロットは、到達点のある仕事ではありません。
- 勉強が終わらない
- 体調管理が一生必要
- 判断の責任が続く
それでも続ける人がいます。
それは、
判断の積み重ねが、そのまま仕事になる
数少ない職業だからです。
さいごに
パイロットという仕事は、
華やかさではなく、
「続ける重さ」を引き受けられるかどうかで決まります。
しかしそれだけにやりがいのある仕事でもあります。
「続ける重さ」を引き受けられるかどうかで決まります。
出典
・厚生労働省「賃金構造基本統計調査」
・各種報道(Yahoo!ニュース、ダイヤモンド・オンライン ほか)
