ANAグループの航空会社である Air Japan は、
運航乗務員(機長)のキャリア採用を開始しました。
本記事では、公式に公表されている採用情報の概要を整理したうえで、
JALグループ・ANAグループ双方が操縦士確保に本腰を入れざるを得なくなっている理由を、
最低限の視点で整理します。
本稿は、これから航空業界を目指す人向けの記事ではありません。
すでに現場で飛んでいる操縦士が、
条件と方向性を確認するための情報整理です。
Air Japan 運航乗務員(キャリア採用)概要
今回、Air Japanが募集しているのは、
運航乗務職(機長)です。
自社養成ではなく、
即戦力としてのキャリア採用である点が明確に打ち出されています。
公式に公表されている主なポイントは、以下の通りです。
- 募集職種:運航乗務職(機長)
- 応募資格:日本の定期運送用操縦士技能証明を保有していること
- 飛行時間:一定時間以上の機長経験を要求
- 雇用形態:
入社後は訓練期間として有期契約
機長資格発令後に正社員へ移行 - 定年・契約形態:
正社員定年後も、契約社員としての継続が想定されています
飛行時間の内訳や資格要件、身体条件などの詳細については、
公式募集要項を直接確認してください。
採用制度から見える、Air Japanという位置づけ
Air Japanは、
ANAグループにおいて国際線運航を担う役割を与えられている会社です。
LCCでもなく、
ANA本体とも異なる立ち位置にあります。
そのAir Japanが、
- 機長限定
- キャリア採用
- 正社員化を前提とした制度
を明示したという事実は、
グループ内での運航リソースが、すでに余裕のない状態にあることを示しています。
将来を見据えた人材投資というより、
運航を成立させるための現実的な採用と捉える方が自然です。
なぜ、JALグループもANAグループも動かざるを得ないのか
操縦士が不足していること自体は、
現場で飛んでいる人であれば説明を要しません。
ここでは、
採用要項から読み取れる点に絞って確認します。
若年層中心の育成モデルだけでは対応できなくなっています
日本の航空会社は長く、
- 若年層採用
- 長期育成
- 内部昇格
を前提とした操縦士育成を続けてきました。
しかし現在は、
- 機材・路線計画が先に動いている
- 育成完了を待つ時間的余裕がない
- グループ全体での運航調整が常態化している
という状況にあります。
その結果、
「今、飛べる人材」を外から確保する判断が、
選択肢ではなく前提になりつつあります。
キャリア採用は戦略ではなく、必要に迫られた判断です
キャリア採用は、
会社側にとって理想的な制度とは言えません。
- 訓練コスト
- 文化・手順の違い
- 長期定着の不確実性
それでも踏み切らざるを得ないのは、
これ以上、内部だけで現場負荷を吸収できないからです。
これは方針転換というより、
運航維持のための現実的な判断です。
操縦士の待遇・働き方を見直さなければ確保できない局面です
もう一つ、採用動向から読み取れるのが、
会社側も処遇や働き方を見直さざるを得ない段階に入っているという点です。
これまで航空会社は、
- 条件を提示する側
- 選ぶ側
であり続けてきました。
しかし現在は、
- 経験のある操縦士ほど流動性が高い
- 条件比較が容易になっている
- 定年後・キャリア後半の設計が無視できなくなっている
結果として、
- 契約形態
- 定年後の扱い
- キャリア後半の位置づけ
を含め、
現実に合わせた調整を行わなければ、人が確保できない局面に入っています。
これは待遇改善を求める声が強くなったという話ではありません。
需給のバランスが変わった、という事実です。
JALグループとANAグループに共通する状況
今回のAir Japanの採用は、
日本航空(JAL) グループ、
全日本空輸(ANA) グループ、
いずれにも共通する流れの中にあります。
- 本体だけでは運航を支えきれない
- グループ全体で人材を動かす必要がある
- そのために制度を現実に合わせていく
危機を強調する段階はすでに過ぎ、
調整と再設計のフェーズに入っていると見るのが自然だと感じます。
