年末、空を見上げて考える|航空業界で働く人が「この一年で失わなかったもの」

思索

年末の空港は、少し不思議な場所です。

一年で最も人の往来が多いはずなのに、
どこか静けさがあり、立ち止まって考える余白がある。

滑走路の灯りを眺めながら、
「この一年はどんな年だっただろう」と
自然に振り返ってしまう人も多いのではないでしょうか。

それは、空の仕事に携わる人だけの話ではありません。

航空業界に興味を持つ人、
これから目指そうとしている人、
あるいは、今年思うように進めなかったと感じている人にとっても、
年末という時間は、特別な意味を持ちます。


2025年、航空業界はどんな一年だったのか

この一年、航空業界は何度も話題になりました。
とりわけ多く聞かれたのが、パイロット不足という言葉です。

ニュースやSNSでは、
人手不足、需要増、今がチャンス ―
少し刺激的な表現も目立ちました。

確かに、現場では人員の余裕が十分とは言えません。
養成に長い時間がかかる仕事である以上、
必要な人数を短期間で補うことは難しいのが現実です。

一方で、現場で働く人たちの感覚は、
その言葉の熱量とは少し距離があります。

「足りないから増やす」
「需要があるから無理をする」

そんな判断は、航空の世界では許されません。

飛行機は、努力や気合で飛ぶものではないからです。

外から見える航空業界と、内側の現実

航空業界は、どうしても
「特別な仕事」「夢のある仕事」
として語られがちです。

それ自体は間違いではありません。
多くの人が強い責任感と誇りを持って働いています。

ただ、現場で最も大切にされているのは、
華やかさでも、スピードでもありません。

それは、
安全を守るために、立ち止まる勇気です。

天候が整わないとき。
視界が十分でないとき。
機材にわずかな違和感があるとき。

どれほど準備をしていても、
「今日は飛ばない」という判断が下されることがあります。

外から見ると、それは遅れや非効率に見えるかもしれません。

しかし現場では違います。

飛ばない判断こそが、仕事であり、責任なのです。

それでも、現場の人が失わなかったもの

2025年は、現場にとって決して楽な一年ではありませんでした。

スケジュール調整、
人員のやりくり、
変わり続ける環境への対応。

それでも、航空業界で働く人たちは、
いくつかの大切なものを失いませんでした。

  • 安全を最優先する姿勢
  • 仲間で支え合う意識
  • 自然に対する謙虚さ

そして何より、
「待つべきときは、待つ」という判断です。

空の仕事では、
自分の力ではどうすることもできない自然と向き合います。
風、雲、視界、時間。

そこに無理を重ねても、
良い結果にはつながりません。

だからこそ、整うまで待つ。
タイミングが来るまで判断を保留する。

それは弱さではなく、
積み重ねられた知識と経験に裏打ちされた強さです。

向いている人、向いていない人

年末になると、
「航空業界に向いているのはどんな人ですか」
という問いを耳にすることがあります。

夢や憧れ、強い意志。
それらは確かに大切です。

けれど現場で長く続いている人に共通するのは、
少し違う資質です。

  • すぐに結果が出なくても待てる人
  • 状況を整えることを大切にできる人
  • 目に見えない変化を信じられる人

派手ではありませんが、
確実に必要とされる力です。

これから目指す人へ

もし今、
航空業界に興味を持ち、
「自分にもできるだろうか」と考えているなら。

華やかな言葉よりも、
この現実を知った上で、
静かに考えてほしいと思います。

この仕事は、すぐに報われる道ではありません。
途中で立ち止まることもあります。

けれど、準備している時間も、
待っている時間も、
確かに前に進んでいます。

以前、私たちは
「待つ時間も、人生の一部だった」
という記事を書きました。

年末の空に、残したい言葉

飛べた人へ。
飛べなかった人へ。
これから飛びたい人へ。

年末の空は、
誰に対しても平等に広がっています。

今年、思うようにいかなかったとしても、
あなたが大切なものを手放さずにいたなら、
それは決して無駄ではありません。

Beyond the Horizonは、
確固たる軸を持ちながら人生を歩んでいくことを、
皆さんと一緒に考える場所でありたいと思っています。

急がなくてもいい。
比べなくてもいい。
けれど、自分の歩幅で前を向いて進んでいく。

その選択は、
この一年で失わなかった、
とても大切なものです。

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