航空業界での花形職種といえば、やはりエアラインパイロット。
しかし、その道のりは想像以上に狭き門です。国内でエアラインの操縦士を目指す場合、まず第一に選択すべきルートは「航空大学校(航大)」または「自社養成パイロット」です。
この2つのルートは、費用面や採用面での優位性が高く、採用されればそのままエアラインパイロットとしての道が開ける、まさに王道ルートです。
近年では私大航空学部や自費取得でラインを飛んでいる方もいますが、とにかく膨大な費用捻出が必要になります。条件の許す方の第一選択は航空大学か自社養成です。

航空大学校とは
航空大学校は、国土交通省所管のパイロット養成機関です。
本校は宮崎、フライト課程は仙台と帯広にキャンパスがあり、全国から選抜された学生が2年3か月のカリキュラムでプロパイロットを目指します。
学費もゼロではないですが、通常の私大にかかる学費と大きな差はないと思います。
- 応募条件:大学・高専卒業(見込み)または同等の学力、30歳未満、身体検査合格
- 学費:国費・航空会社負担が大きく、自己負担は約250〜300万円程度
- 進路:JALやANAをはじめとした大手エアライン、中堅航空会社へ多数輩出
- メリット
- 費用負担が少ない
- 卒業後、多くの航空会社の受験資格が得られる
- 航空会社が求める一定基準以上の訓練が受けられる
- デメリット
- 採用倍率は約10倍程度になることが多い
- 入学後も厳しい訓練が続く

自社養成パイロットとは
自社養成パイロットは、航空会社が大学新卒者などを直接採用し、入社後にパイロット訓練を行う制度です。
採用されれば社員としての安定性が確保され、訓練費用も基本的に会社負担で、訓練中も社員として給料がもらえるという魅力があります。
- 応募条件:大学卒業(見込み)、28歳未満(会社による)、身体検査合格
- 訓練内容:国内座学 → 海外フライト訓練 → 機種移行訓練 → 副操縦士昇格
- メリット
- 採用されれば費用はゼロ
- 入社=パイロットキャリアのスタート
- デメリット
- 採用倍率は50〜100倍
- 高度な適性と総合力が求められる

自社養成パイロットの選考ステップ(現在は約8段階)
近年の自社養成試験は、ANAやJALをはじめとして8段階前後の緻密な選考プロセスが組まれています。
一般的な流れは以下の通りです。
- エントリーシート提出・Web適性検査
- 一次筆記試験(数学・物理・英語)
- 英語試験(TOEIC・リスニング・スピーキング)
- グループワーク・面接
- 身体検査(一次)
- 操縦適性検査(ANAの場合はFCAT)
- 身体検査(二次)
- 最終面接
この過程では、学力だけでも、身体能力だけでも、人柄だけでも合格はできません。
重要なのは、3つをバランスよく備えた「総合力」です。

総合力を構成する3つの柱
- 学力:数学・物理・論理的思考、そして高い英語力
- 身体能力:航空身体検査・持久力・空間認知能力・長時間集中力
- 人間力:協調性・リーダーシップ・ストレス耐性
大学入学前からでも、これらを意識した準備を始めることが理想です。
航空身体検査基準は https://www.aeromedical.or.jp/manual/index.htm から確認できますが、採用段階では各社で更に厳しい基準を設けているところがあります。

時間がかかる準備は英語力
パイロット訓練や業務では航空英語が多用されます。
リスニングやスピーキングが不十分だと、訓練途中で「エリミネート(途中離脱)」となるケースもあります。ただでさえ訓練は大変なのに、英語が分からなければ混乱してしまうことは容易に想像できると思います。
英語力は短期間で習得できないため、以下のような長期計画が必要です。
- 理想:半年〜1年程度の海外留学で英語漬け
- 現実的な選択肢:2年程度、毎日オンライン英会話で実践練習

パイロット志望者におすすめの英語学習法
英会話を日常に組み込みたいなら、Native Campが有力な選択肢です。
- 予約不要・回数無制限でレッスン可能
- 航空英語や面接練習にも対応
- 24時間、世界中の講師と英会話ができる
Native Campは、単にTOEICスコアを伸ばすだけでなく、実際の訓練・業務で必要な「聞いて即答する英語力」を鍛えられます。
まずは7日間の無料体験から、英語漬けの毎日を始めてみましょう。
ANAのFCAT(Flight Crew Assessment Test)とは
ANAグループの自社養成選考で実施される試験がFCAT(Flight Crew Assessment Test)です。これは、パイロットに求められる空間認知力・判断力・マルチタスク能力を測定する試験です。
- 内容の例
- 複数の計器・情報を同時に監視
- 状況変化に合わせて瞬時に操作・判断
- 英語音声指示への即時対応
- 特徴
- 操縦経験は不要だが、高度な集中力と情報処理能力が必要
- 緊張状態での冷静な判断力が評価される
- 対策
- マルチタスク系トレーニング(フライトシミュレーターなど)
- 英語リスニング+即時応答練習
- 長時間集中できる体力作り(ランニング・筋トレ)

航空大学校と自社養成パイロット比較
項目 | 航空大学校 | 自社養成パイロット |
---|---|---|
費用 | 約250〜300万円 | ほぼ0円(会社負担) |
応募条件 | 大卒見込み・30歳未満 | 大卒見込み・28歳未満程度 |
採用倍率 | 約10倍 | 50〜100倍 |
卒業後 | エアライン各社受験 | 自社で副操縦士訓練 |
特徴 | 幅広く就職可能 | 採用=パイロット候補生 |
まずは両方にチャレンジ
エアラインパイロットを目指すなら、航空大学校と自社養成の両方に挑戦するのが鉄則です。
それぞれの選考スケジュールを確認し、学力・身体能力・英語力を計画的に鍛えましょう。
特に英語力は、Native Campのようなオンライン英会話を活用すれば、国内にいながら日常的に鍛えられます。数年後の合格通知を手にするために、今から準備を始めましょう。
会社が欲しい人材は、確実に訓練をクリアして副操縦士に昇格し、機長となって定年まで飛び続けられる能力を持った人材です。
実際、自社養成は『何となく受けたら合格した』という方もいます。特別な準備は要らないのですが、基礎学力と英語力だけは別物です。
これを読んだ多くの若者にチャレンジしてもらえることを望んでいます。