パイロットという仕事は
技術だけでは続けられません。
どれだけ操縦が上手くても
健康を失えば飛ぶことはできません。
判断力が鈍れば
安全を守ることもできません。
訓練や審査は厳しく語られることがありますが
本当に難しいのは
「長く飛び続けること」
なのかもしれません。
そんなことを考えながら読んだのが
小林宏之氏の『機長の健康術』でした。
42年間のパイロット人生で
病欠によるスケジュール変更が一度もなかった
という実績は、それだけでも驚くべきものです。
この本の価値は記録そのものではありません。
長く飛び続けるために何を考え
どのような習慣を積み重ねてきたのか。
そこにこそ学ぶべきものがあると感じました。
42年間病欠ゼロという事実
健康本というと
特別な食事法
最新のサプリメント
劇的なアンチエイジング
そんな内容を想像する方もいるかもしれません。
しかし本書に書かれているのは
もっと地に足のついた話です。
十分な睡眠
適度な運動
食べ過ぎないこと
疲労を溜めないこと
体調の変化を見逃さないこと
どれも特別なことではありません。
けれど
多くの人が続けられないことでもあります。
42年間病欠ゼロという結果は
特別な才能ではなく、小さな選択の積み重ね
だったことが伝わってきます。
健康は才能ではなく技術だった

本書を読みながら感じたのは
健康とは「持って生まれたもの」ではなく
「管理するもの」だということでした。
若い頃は無理をしても乗り切れることがあります。
睡眠不足でも
暴飲暴食でも
多少の体調不良でも
しかし年齢を重ねるほど
その差は少しずつ現れます。
そして
その差は才能の差というより習慣の差です。
健康に良いことを続ける。
健康に悪いことを減らす。
言葉にすると当たり前ですが
それを何十年も継続することは簡単ではありません。
だからこそ、健康は技術なのだと思います。
パイロットは健康でなければ飛べない
現役パイロットとして飛んでいると
健康は趣味ではなく仕事の一部です。
半年ごとの航空身体検査
時差のある運航
不規則な生活
睡眠管理
飲酒管理
どれも避けて通れません。
もちろん私自身も完璧ではありません。
年齢を重ねれば身体の変化もあります。
仕事や人生の出来事によって
ストレスを感じることもあります。
それでも飛び続けるためには
自分自身の状態を把握し続ける必要があります。
機体の状態を確認するように
自分自身の状態も確認する。
その考え方は
本書を通じて改めて共感した部分でした。
健康は人生のパフォーマンスを支える
ここで私は
健康と美容について考えました。
美容という言葉を聞くと
見た目を整えることを想像する方も多いと思います。
しかし本当に大切なのは
人生のパフォーマンスを整えることではないでしょうか。
疲れにくい身体
安定した判断力
前向きな気持ち
良質な睡眠
それらは仕事にも人生にも大きく影響します。
自己実現とは自己マネジメントなのかもしれない
本書を読んでいて
私は健康について考えていたはずなのに
いつの間にか人生について考えていました。
自己実現という言葉があります。
夢を叶えること
目標を達成すること
理想の人生を歩むこと
もちろんそれも間違いではありません。
けれど本当に大切なのは
その状態を維持できることではないでしょうか。
健康
仕事
お金
人間関係
学び
すべてに共通するのは、自分自身を管理する力です。
だから私は
自己実現とは自己マネジメントなのだと思います。
長く飛び続けるために

若い頃は体力で飛べます。
勢いでも前に進めます。
しかし長く飛び続ける人は
健康を根性で管理していません。
感覚でもありません。
日々の習慣として管理しています。
それは航空業界だけではなく
どの仕事にも共通することだと思います。
おわりに
私はパイロットとして飛び続けています。
そして今でも、健康管理に終わりはありません。
『機長の健康術』を読んで改めて感じたのは
健康とは才能ではなく
毎日の選択の積み重ねだということでした。
自己実現とは
何か特別な夢を叶えることではありません。
自分自身を長く運航できる状態に保つこと。
そのための自己マネジメントこそが
本当の意味で人生を支えているのかもしれません。

