航空整備士という仕事が、なぜ今選ばれなくなっているのか|静かな職業の価値を考える

航空整備士が格納庫で機体を見上げ、安全確認に向き合う後ろ姿 整備士

航空業界への志願者数に、はっきりとした異変が起きています。

パイロットやCAの採用は回復している一方で、
航空整備士や地上業務を目指す若者が減少したままなのです。

これは単なる人手不足の話ではありません。
もっと深いところで、
仕事を選ぶ価値観そのものが変わりつつあることを示しています。


航空整備士を目指す若者が減っている現実

航空専門学校では、
コロナ禍前に比べて整備士志望者が大きく減少しています。

旅客数や航空会社の採用数は回復しているにもかかわらず、
整備士を中心とした一部職種では、
定員割れが続いているのが現実です。

職種ごとに分かれる「人気」

  • CA志望は回復傾向
  • 整備士・グランドハンドリングは低迷

同じ航空業界でも、
選ばれる仕事と、そうでない仕事が明確に分かれ始めています。


なぜ整備士は「不安定な仕事」に見えてしまうのか

コロナ禍が残した強い記憶

コロナ禍では、
飛行機が飛ばず、空港が止まりました。

その光景は、
これから職業を選ぶ世代にとって、

「航空業界=不安定」

という印象を強く残しました。

これは事実というより、
体験として刷り込まれたイメージです。


目に見えない仕事は、評価されにくい

航空整備士の成果は、
「事故が起きないこと」です。

・問題が起きなければ話題にならない
・SNSで共有されることもない
・派手なストーリーがない

今の社会では、
こうした仕事はどうしても評価されにくくなります。


それでも航空整備士が担っている本当の価値

飛行機は、
パイロットとCAだけでは一便も飛びません。

整備士がいて、
機体が安全だと確認されて、
はじめて出発できます。

判断を積み重ねる仕事

整備士の仕事は、

  • 規程を守る
  • ダブルチェックを行う
  • 「大丈夫そう」では判断しない

という、
慎重さそのものが評価される世界です。

この姿勢は、
仕事だけでなく人生にも通じます。

一日の整備作業を終え、静かな夕暮れの空港外を歩く航空整備士

実は「結婚相手として信頼されやすい職業」でもある

あまり表に出る話ではありませんが、
航空業界の中では、
整備士は 結婚相手として信頼されやすい職業 と語られることがあります。

元CAの中には、

「遊ぶならパイロット、結婚するなら整備士」

と表現する人もいます。

これは職業の優劣の話ではありません。

  • 生活リズムが比較的予測しやすい
  • 判断が慎重
  • 派手さより安定を重視する

人生のフェーズによって、求める価値が変わる
ということを示しているだけです。


整備士が選ばれなくなったのは、仕事が悪いからではない

整備士の仕事の価値が下がったわけではありません。

変わったのは、
社会全体の価値観です。

  • 目立つ仕事
  • 語りやすい肩書
  • 承認されやすい成果

そうしたものが、
以前より強く求められるようになりました。


「何も起きないこと」を仕事にするという判断

整備士の仕事は、
何かを起こすことではなく、
起きない状態を保つことです。

これは、

  • 投資で大きく儲けるより、守る判断
  • 若返るより、整える美容
  • 刺激より、続く人間関係

と同じ考え方です。


まとめ|仕事選びは、価値観を選ぶこと

航空整備士を目指す若者は減っています。
しかしそれは、
仕事の価値が下がったからではありません。

  • 静かな仕事
  • 目立たない役割
  • 続けることに意味がある仕事

こうした価値が、
見えにくくなっているだけです。

仕事選びは、
収入や肩書きを選ぶことではなく、
どんな価値観で生きるかを選ぶこと

航空整備士という仕事は、
今も変わらず、
その問いを私たちに投げかけ続けています。

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