関係が揺れ始めるとき、多くの場合、それは突然ではありません。
大きな出来事が起きたわけでも、決定的な言葉が交わされたわけでもない。
ただ、これまで自然に共有できていた前提が、
少しずつ噛み合わなくなっていく。
一緒にいる時間は変わらないのに、
会話の奥行きが浅く感じられる。
相手の話を聞きながら、
どこか別のことを考えている自分に気づく。
そんな小さな違和感が、
静かに積み重なっていきます。
フェーズのずれは、意志とは別のところで生まれる
人生のフェーズがずれる、というのは、
どちらかが間違った選択をした、という意味ではありません。
仕事、家族、健康、生活の優先順位。
人が大切にするものは、年齢や経験とともに変わっていきます。
そしてその変化は、本人の意志とは関係なく起こることも多い。
同じ方向を向いて歩いてきたはずなのに、
ある時ふと、歩幅が合わなくなっていることに気づく。
それは裏切りでも、失敗でもなく、
人生が進んだ結果として起こる、ごく自然な現象です。
「気持ちの問題」に見えて、実はそうではないこと
関係の揺れは、しばしば「気持ちの変化」として語られます。
けれど実際には、感情よりも先に、
生活の感覚や時間の向きが変わっていることがあります。
- 先のことを、どこまで具体的に考えているか
- 何を守り、何を変えられると感じているか
- これからの時間を、どんな単位で捉えているか
そうした感覚の違いが、
会話の端々や、判断の迷いとして表に出てくる。
気持ちが冷めたわけではない。
ただ、同じ前提で話せなくなっている。
その事実に気づくのは、
いつも少し遅れます。
フェーズのずれは、関係を壊す原因ではない
フェーズのずれが生まれたからといって、
関係が必ず終わるわけではありません。
問題になるのは、
ずれそのものではなく、
そのずれをどう扱うかです。
- なかったことにしようとする
- どちらかが我慢すれば済むと考える
- 正解を急いで決めようとする
こうした態度が、
本来は調整できたはずの関係を、
少しずつ苦しいものにしていきます。
同じ答えより、同じ問いを持てるか
関係が続くかどうかを分けるのは、
同じ結論にたどり着けるかどうかではありません。
- 今、何が変わってきているのか
- どこに違和感を覚えているのか
- それを言葉にしても大丈夫だと思えるか
同じ問いを、同じ方向を向いて持ち続けられるか。
その姿勢があるかどうかが、
関係の行方を静かに左右します。
次回に向けて
次回は、フェーズのずれに気づいたあと、
人の態度や距離感がどのように変わっていくのか。
その揺れを、もう少し内側から見ていきます。
答えを出すためではなく、
考え続けるために。
