航空業界は回復局面に入ったとはいえ、燃料・為替・人手不足など不確実性も多い産業です。
そんな中でJALグループは、通期で増収増益を達成し、直近の四半期(FY2026/3期2Q)でも増収増益基調を示しています。
この記事では、IRの一次情報(決算・計画)をベースに、「今のJALは何が強いのか/どこに投資し、どこにリスクがあるのか」を、できるだけ客観的に整理します。
1. まず数字で見る:JALは“回復”から“整えて伸ばす”局面へ
FY2025/3期(通期):売上・利益ともに拡大
JALグループはFY2025/3期通期で、売上高1兆8,440億円、EBIT 1,724億円、当期純利益1,070億円を公表しています。(※EBITは営業利益に近い指標としてJALが継続的に提示)
ポイントは、「売上が伸びるだけでなく、利益も伴っている」こと。
一方で費用面では、円安・物価上昇・人材投資などでコスト増が起きていることも同時に示されています。

FY2026/3期(直近2Q):増収増益、ただし“投資も進める”
FY2026/3期2Q(2025/4/1–9/30)の発表では、売上は前年同期比で増加し、EBIT・純利益も伸長。
同時に「インフレ」や「人材投資」で費用増があることも明記されています。
ここから読み取れるのは、JALが「利益を削ってでも投資する」のではなく、
利益を出しながら“人と機材”に投資して次の成長を作るフェーズに入っている、という点です。
2. 好調の背景:需要回復だけでは説明できない“設計”
JALの数字を「旅行需要が戻ったから」とだけ捉えると、本質を見落とします。
同社は中期計画(Rolling Plan 2025)で、既存事業の構造改革と、顧客・人材・DXなどの横串戦略を明確に掲げています。
この“設計”があるから、回復局面でも「伸び方が崩れにくい」状態を作りやすい。
(もちろん、外部要因でブレる産業である点は変わりません。)
3. 人材投資:航空業界最大のボトルネックに正面から向き合う
Rolling Plan 2025では、外部環境として人材不足の深刻化を明確に認識し、対応を進める方針が示されています。
また直近決算でも、費用増の要因として人材投資を明記しています。

航空は「機材があっても、人がいなければ飛ばせない」産業です。
ここに投資を入れるのは、短期の利益を最大化する行動というより、供給制約を外して中長期の成長余地を確保する行動と捉えるのが自然です。
4. 機材更新:国内線の足腰を強くし、国際線とLCCの成長余地を作る
JALは機材面でも“更新と拡張”を進めています。
たとえば、国内線を中心に運航する単通路機の更新として、B737-8(MAX)を追加導入する方針を発表。
これは、燃費効率や運航の最適化を通じて収益性の土台を整える動きとして読みやすいです。
5. ZIPAIRの位置づけ:JALの“もう一つの成長エンジン”
ZIPAIRは、JALグループの中でも注目度が高い存在です。
2025年3月にはZIPAIR自身が、B787-9導入を含む国際線ネットワーク拡張を公表しています。
また外部報道でも、787-8の追加と、その後の787-9導入計画が伝えられています。

ここで大切なのは、ZIPAIRを「安い航空会社」としてだけ見るのではなく、JALグループが 需要の異なる層を取りにいくための戦略ユニットとして見ることです。
6. リスクと課題:強い局面ほど“弱点”が見えにくい
客観的に見て、JALに限らず航空業界は次の影響を受けやすいです。
- 為替(円安)と燃料価格
- 地政学リスク(需要の急変)
- 人手不足による供給制約
- 機材調達・整備の遅延
JAL自身も、人材不足や外部環境の不確実性を認識した上で計画を組み立てています。
だからこそ読者側は、「良いニュース」だけでなく、どんな前提条件の上で成り立つ好調なのかを見ておくと判断がブレません。
まとめ:JALは“回復”から“拡張”へ。見るべきは「人」と「設計」
JALグループの最新状況をまとめると、
- 数字は総じて改善・好調(通期/直近とも増収増益基調)
- ただしコスト増もあり、その中に人材投資が含まれる
- 中期計画では、構造改革と人材・DXを横串に置く方針が明確
- 機材更新(B737-8追加導入)で運航基盤を整える
- ZIPAIRは機材拡張を示し、成長ユニットとしての存在感が増している
という整理になります。

