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ガソリン税「暫定税率」廃止へ|課題と影響、今後の議論の行方とは?

つぶやき

ガソリン税「暫定税率」廃止へ動き出す──与野党が本格協議スタート

2025年8月1日、自民党や立憲民主党など与野党6党による「ガソリン税の暫定税率廃止」に関する実務者協議がスタートしました。かねてより物価高騰や家計負担の軽減を目的に検討されてきた暫定税率の廃止ですが、その実現に向けた大きな一歩といえます。

年内での廃止方針には基本合意がなされたものの、税収減への対応や現場での混乱回避など、課題は山積みです。


そもそも「暫定税率」とは?──ガソリン1リットル当たり25.1円の上乗せ

現在のガソリンには、1リットルあたり28.7円の本則税率に加え、25.1円の「暫定税率」が上乗せされて課税されています。

また、軽油にも同様に暫定税率がかかっており、両方の暫定税率を廃止した場合、国の税収は年間で約1兆円、地方では約5,000億円の減収が見込まれるという試算が出ています。

この「暫定税率」は、本来は時限的措置として導入されたものでしたが、数十年にわたり延長され、現在に至っています。


財源確保は困難が予想される

野党側はこれまで、「税収の上振れ分」などを代替財源として活用する方針を示してきました。

しかし、財務省関係者によれば、現時点で安定した代替財源の確保には目途が立っていない状況です。

7月30日には全国知事会が自民党に対し、地方税の減収に対する恒久的な財源措置を要請。地方自治体からも強い懸念の声が上がっています。


現場の混乱リスク──ガソリンスタンドや消費者の影響とは?

制度変更による現場レベルでの混乱回避も、非常に重要なポイントです。

具体的には、ガソリンスタンドが暫定税率込みの価格で仕入れた在庫を、廃止後には価格を下げて販売せざるを得ないため、仕入れ価格と販売価格の逆転による損失が一時的に発生する可能性があります。

また、税の還付には時間がかかるため、中小のスタンド経営者にとっては資金繰りに支障が出るリスクも無視できません。

さらに、廃止直前には「買い控え」、廃止直後には「駆け込み需要」が起こる恐れがあり、消費者の間でも混乱が生じる可能性が指摘されています。


補助金の段階的拡充で価格抑制も検討

現在、政府は1リットルあたり10円のガソリン補助金を支給していますが、野党はこの補助金を段階的に拡充することで、税率廃止による混乱を緩和すべきだと主張しています。

しかしこの案も簡単ではありません。というのも、既にこれまでに累計8兆円を超える予算が補助金に投じられており、さらに補助を拡大するには大幅な財政支出の追加が避けられないためです。

しかし環境課題も忘れてはなりませんね。


財務省の見解と今後の見通し

1日の閣議後記者会見で、加藤勝信財務相は以下のように述べています:

「諸課題について解決策を見いだすべく、与野党合意に沿って真摯に議論が重ねられていくものと承知している」

今後の協議では、単に税率の是非だけでなく、

  • 財源の見直し
  • 地方財政への補填措置
  • 現場支援策(資金繰りや価格調整支援)
  • 消費者保護の観点からの時期・手法の検討

など、実務的・実践的な課題解決が求められる局面に入っていきます。


まとめ:ガソリン税見直しは国民生活に直結する議題

ガソリン税の暫定税率廃止は、長年の政治課題でありながら、財政・流通・消費といった広範な影響を伴うテーマです。

年内での廃止方針は歓迎すべき一方で、それを支える**「財源」「制度設計」「現場対応」**の3本柱が不十分なままでは、混乱を招きかねません。

今後の国会・協議の動向を注意深く見守るとともに、私たち消費者も、正確な情報をもとに行動判断をする必要がある局面に来ているのではないでしょうか。

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