客室乗務員 ― いわゆる CA の仕事は、
時に華やかさだけで語られます。
けれど現実には、
人と人の間に立ちながら、
国境を越えて働く人間が日々の中で見ているものは、
それとは少し異なる姿です。
『国際線外資系CAが伝えたい自由へ飛び立つ翼の育て方』は、
そんな視点を静かに、しかし確かな言葉で綴った一冊です。
空の仕事は「自由」とは少し違う
タイトルにある「自由へ飛び立つ翼」という言葉は、
自由そのものを軽やかに飛び回る意味ではありません。
むしろそれは、
制約の中で自分らしさを探すプロセスです。
カナダを拠点に、外資系航空会社で働く著者は、
日々の業務の中でこうした現実を体感してきました。
長距離フライト、
時差ボケ、
厳しい訓練、
異文化の違い ―
すべての経験は「自由」とは逆の場所から始まり、
しかしそれでもなお、
自分らしい生き方への問いを深めていきます。
「プロとして働く」ということの重み
本書では、仕事の現場が決して軽いものではないことが、
率直に綴られています。
- 言葉の壁
- 文化の違い
- 長時間労働
- 体調管理
- お客様との関わり
こうした要素は、
単純な「憧れ」では語れない現実です。
しかし同時に、
その重みの中で一歩ずつ積み重ねられていくものがある。
経験を通じた自分の成長や、他者との相互理解です。
CAという仕事は、
ただ「サービスする」だけではありません。
空という稼働空間で、
人間として成熟していく実感を伴う仕事でもあるのです。
旅という視点を拡張する
フライトは単なる「移動」ではありません。
異国の空港に降り立ち、
言葉や文化に触れ、
異なる価値観を持つ人々と接しながら働く。
この一連の行為は、
「旅する自分」という存在を再定義することでもあります。
旅の目的は「到着」ではなく、
そのプロセスそのものにある。
CAとしての経験は、
そのプロセスに立ち続けることでしか得られない視点を与えます。
そこにあるのは、
単なる「楽しさ」でもなく、
ただの「苦労話」でもありません。
自分の中の変化を受け入れながら、
選び続けるという働き方そのものです。
それでも「自分らしく飛ぶ」ということ
本書は決して、CAという仕事を美化するものではありません。
同時に、夢を煽るだけの本でもありません。
そこにあるのは、
現実と対峙しながら、自分自身を見つめ続ける生き方の叡智です。
これから空を飛ぶ仕事を考える人にとって、
あるいはすでにその一歩を踏み出している人にとって、
この本は、静かに響く一冊となるはずです。
さいごに
国際線の現場からの声は、
思っている以上に多くのことを投げかけてきます。
CAという立場で、
旅と仕事、そして人生の選択を考えたい人へ。